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発育性股関節形成不全(DDH)

◎概念

出生前および出生後(出生時)に大腿骨頭が関節包の中で脱臼している状態を

以前は先天性股関節脱臼あるいは先天股脱と称されていましたが、

奇形性脱臼以外は周産期および出生後の発育過程で脱臼が生じる事が分かってきたため、

現在では発育性股関節形成不全(DDH)と称される傾向にあります。

この疾患、概念には出生前前・後の股関節脱臼はもちろん、亜脱臼や将来脱臼をきたす

可能性を有する臼蓋形成不全や新生児股関節不安定性、亜脱臼を含めた脱臼状態にある

股関節がすべて含まれます。男女比は1:5〜9と女子に多いです。また、初産児に多いです。

骨盤位、殿位分娩時の異常胎位に発生率が高くなります。

◎原因

本症の原因は、明らかではありませんが、家族内発生が多いこと、女児に多いこと、

殿位での出産例に好発することなどから、もともと股関節が弛緩しやすいとか、

骨格の形態異常があるなどといったような遺伝的素因のほかに、ホルモンの影響

(妊娠末期に関節弛緩ホルモンが母体から分泌される)や、出生前後に下肢が伸展位にあって

自由な運動が妨げられるといったような、機械的作用まど、環境因子が関わりあって発症すると考えられます。

◎症状

〈新生児期〉

・下肢に位置の異常(股位異常)…新生児を自然な形で仰向けに寝かせた時、

股関節は開排位になるのが普通だが、内転内旋位にある。

・クリック音

〈乳児期〉

O股関節異常は新生児期と同じ

・下肢短縮…仰向けにして膝を屈曲して股関節を屈曲、いわゆる「立て膝」位とらせると

患側の膝の高さが低い。これは、股関節脱臼によるみせかけの短縮です。

・大腿皮膚溝の左右非対称…大腿内側に正常でもみられる皮膚溝がありますが、

患肢ではその数が多く、深くかつ長いです。

・歩き初めの遅延…乳児は普通10〜12ヵ月で歩き始めますが、患児は処女歩行が送れます。

・トレンデレンブルグ徴候…歩行にさいしてからだがぎこちなくゆれる。

・跛行…歩行時に一側を引きずるかたちの異常歩行

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◎治療

①保存治療

〈新生児期〉

・育児指導:適切なおむつの使用と抱き方を指導します。

定期的検診と指導によって、軽症例はほとんど正常な股関節の発達してきます。

・リーメンビューゲル装具療法

・フォン・ローゼン装具療法

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〈乳児期〉

・リーメンビューゲル装具療法…この装置による治療は乳児の先天性股関節脱臼治療の

基本になっています。この装具は股関節の伸展は制限しますが、ほかの運動は制限しません。

股関節の開排制限の改善と脱臼整復に1〜2週間、その後4〜6週間装着し、

股関節の安定をみたら装具を外し、適正なおむつに替えます。

・頭上方向牽引療法

・ローレンツ、ギプス固定法

②観血的治療…保存的治療の成績はかなり良好ですが、ときに保存的治療法に、抵抗する症例があります。

また、整復した脱臼がギプス内で再脱臼を繰り返すこともあります。

このような症例では、観血的治療が行われます。

◎予後

早期発見され早期に順調に整複されたものの予後は比較的良好です。

1歳半を過ぎて発見されたものの予後は良好です。また両側例、男児症例では予後不良なものが多いです。

発育とともに臼蓋形成不全が明らかとなる例があり、骨成熟期まで経過を十分観察する必要があります。

少しでも赤ちゃんに異常を感じたら、整形外科を受診しましょう。

また、おむつの位置や、抱き方に注意しましょう。

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